シーパップ(CPAP)自費購入いくら? ― 購入時の注意点、価格目安、レンタルとの比較、選ぶ人が増えている理由

睡眠中に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の標準治療は、CPAP(シーパップ:Continuous Positive Airway Pressure)という装置を使う方法になります。
通常は医療機関での診断・処方を経て機器をレンタルする形が一般的ですが、近年では「購入(買取)」を選ぶ方も増えています。
その背景には、費用面だけでなく、通院や管理の自由度を求める声があります。では、実際にCPAPを自費で購入する場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
自費購入の価格相場 ― 20〜40万円が目安
複数の医療機器販売サイトを見ると機能や付属品によって差がありますが、20万円〜40万円程度が一般的な価格となっています。(加湿器やマスク、ホース、フィルターなどは別売り)
主なメーカーとしては、医療機関でレンタルされることが多い、ResMed、フクダ電子、Philipsなどの他にも、Transcend、SEFAMといった欧米で実績のあるメーカーがあります。(上記写真は、世界最小クラスのCPAP Transcend micro)
メーカーや機種によって性能などに違いがあるので、当社団(一般社団法人 睡眠時無呼吸症候群に打ち克つための患者の会)では、患者さんがいつでも試せるように複数メーカーのCPAPを常備し、患者さんのための無料相談会や、無料体験会を実施しています。
ちなみに国内でCPAPを販売するためには、その機種は、高度管理医療機器(クラスⅢ)としての医療機器製造販売承認番号を取得している必要がありますので、購入時にかならず確認するようにしてください。(番号例:22900BZX00451000)
またCPAPは簡単に壊れるような機器ではありませんが、使い方の相談などアフタサービスの問題もあるので信頼できる販売業者から購入されることをお勧めします。
「レンタルではなく購入」を選ぶ人が増えている理由
多くの人はCPAPを医療機関経由でレンタルしていますが、あえて購入を選ぶ人にはいくつかの共通した理由があります。
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長期的に使うなら経済的
月々のレンタル料や通院管理料を含めると、長期的には購入価格を上回る場合があります。特に5年以上継続する見込みのある方にとって、購入はコスト的な合理性が出てきます。
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自分専用機として衛生的・安心
購入すれば、使用履歴が自分のみの機器となり、衛生管理もしやすくなります。
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旅行・出張での自由度
最近では、旅行用に軽量な機種を自宅用とは別に購入される方が増えています。軽量モデルや携帯バッテリー対応機種を選べば、海外でも使用可能となります。飛行機への機内持ち込みも可能です(詳しくは航空会社にご確認ください)。
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月1回の通院負担を軽減したい方も
医療機関でのレンタルでは、通常月1回の通院とデータ報告が必要です。仕事や家庭の都合で通院が難しい場合、医師の理解を得た上で自費購入に切り替える方もいます。この選択は、医療機関との関係を断つためではなく、治療を継続しやすい環境をつくる工夫の一つとして考えられています。
レンタル vs 購入 ― 費用比較(3年・5年スパン)
CPAPの経済的な側面を客観的に見るために、レンタルと購入を3年・5年スパンで比較してみましょう。価格はあくまでも目安とお考えください。
| 項目 | レンタル利用(医療機関経由) | 自費購入(買取) |
| 初期費用 | ほぼなし(導入費0〜1万円) | 約20万〜35万円(本体+付属品) |
| 月額費用(管理料+レンタル料) | 約6,000〜8,000円 | なし(自己管理) |
| 3年間利用総額(概算) | 約21万〜29万円 | 約20万〜35万円 |
| 5年間利用総額(概算) | 約35万〜48万円 | 約20万〜35万円+消耗品代(年1〜2万円) |
| 通院義務 | 月1回通院・データ提出あり | 医師の指導に基づき自主管理(必要時のみ通院) |
| メリット | 医師管理・設定変更・保険適用 | 自由度が高く、衛生的。長期的にコスパ◎ |
| デメリット | 毎月の通院負担・ランニングコスト | 初期費用が高い。管理自己責任 |
CPAPレンタルと購入の比較まとめ
・3年以内ならレンタルでもコスト差は小さい。
・5年以上使うなら購入の方が経済的になる傾向がある。
・出張・転勤・家庭の都合などで「月1通院」が難しい方は、購入の柔軟性が活きる。
購入時に確認しておきたいポイント
医師の指示書の有無
CPAPは医療機器であるため、販売にあたって医師の指示書が求められることがあります。まずは主治医に相談し、理解を得ながら進めましょう。
保証・メンテナンス体制
メーカー保証・修理対応・消耗品供給など、購入後のサポートを確認しましょう。
機能とサイズの比較
圧自動調整機能(Auto-CPAP)や加湿機能、静音性、持ち運びのしやすさも重要です。
年間維持コスト
マスク・フィルター・チューブ交換で年1〜2万円程度かかります。
医療との連携は続けながら「自分に合った継続スタイル」を
CPAPの自費購入は、「医師に頼らない」という姿勢ではなく、生活スタイルに合わせて治療を無理なく続ける選択肢です。医療機関でのフォローを受けながら、設定やデータの確認を適宜相談することで、自費購入でも安全かつ効果的に治療を続けられます。
まとめ ― 継続できる治療が最良の治療
CPAP療法は、継続すれば確実に効果を発揮する治療法です。しかし、通院や費用の負担で中断してしまっては意味がありません。自費購入は、自分らしく、無理なく続けるためのもう一つの道です。
費用・通院・ライフスタイルのバランスを考えながら、医師と相談し、納得のいく選択をしてください。
私たち「睡眠時無呼吸症候群に打ち克つための患者の会」では、購入・レンタルを問わず、継続治療に関する情報や体験談を共有しています。
「CPAPを始めたものの通院が負担に感じる方」や、「2台目の購入を検討されている方」、「中等症・軽症と診断されたが自費で購入を希望される方」は、どうぞお気軽にご相談ください。
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