熟睡できない・夜中に目が覚める(中途覚醒)─原因の見分け方と、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を見逃さないために

「寝つけないわけではないが、夜中に何度も目が覚める」
「眠ったはずなのに、朝から疲れが残る」

こうした“熟睡できない”悩みは、年齢や生活習慣だけで片づけられないことがあります。とくに、睡眠の途中で目が覚める状態は中途覚醒と呼ばれ、背景にいくつもの原因が隠れている可能性があります。

私たち患者の会として強調したいのは、中途覚醒の原因の一部に、治療法が確立している睡眠時無呼吸症候群(SAS)が含まれるという点です。本人が気づきにくい疾患だからこそ、情報を整理して「受診や検査を検討する目安」を持っていただくことが大切だと考えています。

中途覚醒とは?「眠れているのに回復しない」状態

中途覚醒は、就寝後に何度も目が覚めたり、目が覚めると再入眠に時間がかかったりする状態を指します。特徴は、睡眠時間が確保できていても、睡眠が分断されることで睡眠の回復力(睡眠の質)が落ちることです。

よくある困りごとは次のようなものです。

・ 夜中に1〜数回、理由なく目が覚める
・ 夢が多い/浅い眠りが続く感じがする
・ 朝の頭痛、だるさ、日中の強い眠気
・ 集中力の低下、気分の落ち込み、イライラ
・ 休日に寝だめしても回復しない

熟睡できない主な原因は「ひとつ」とは限らない

中途覚醒の背景は、生活習慣から疾患まで幅広く、複数が重なっていることも珍しくありません。ここでは代表的な原因を整理します。

1) 睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠中に呼吸が止まる(無呼吸)/弱くなる(低呼吸)ことが繰り返され、脳が“危険回避”のために覚醒しやすくなる状態です。目が覚めた自覚がなくても、睡眠が細かく分断され、熟睡感が失われます。

医学的には、睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)などで評価され、一定以上でSASが疑われます。ガイドラインではAHIなどの概念(簡易検査ではREI)も含め整理されています。

また、SASは放置すると高血圧・糖尿病・心血管疾患や脳血管障害などのリスクと関連することが指摘されています。

※患者数推計は文献・前提で幅がありますが、「未診断の人が多い」点は共通して語られます(例:国内で数百万人規模とする情報もあります)。

SASが疑わしいサイン(目安)

・ いびき(家族に指摘される/自分で録音すると大きい)
・ 息が止まる、むせる、息苦しさで目が覚める
・ 朝の口渇、頭痛、起床時のだるさ
・ 日中の眠気(会議中・運転中に危険を感じる)
・ 体重増加、首まわりが太くなった、鼻づまりが慢性的
・ 高血圧・糖尿病などがある/薬を飲んでも血圧が下がりにくい

2) ストレス・抑うつ、不安など(心身の緊張)

本来、睡眠中はリラックスに関わる働きが優位になりやすい一方、強いストレスや不安が続くと、覚醒に関わる働きが高まりやすくなります。その結果、寝つきが悪くなるだけでなく、夜中に目が覚めやすい/再入眠できないにつながることがあります。

※気分の落ち込み、食欲低下、希死念慮などがある場合は、早めに専門家へ相談してください。

3) カフェイン・飲酒・薬の影響

・ カフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶等)は体質や摂取時間によって入眠・中途覚醒に影響します。
・ 寝酒は眠りに入りやすく感じても、後半の睡眠が浅くなり、覚醒回数が増えることがあります。
・ 服薬中の薬が睡眠に影響する場合もある。自己判断で中止せず、処方医に相談するのが基本です。

4) 夜間頻尿(泌尿器の問題・加齢・生活習慣)

夜間頻尿は中途覚醒の非常に多い原因のひとつです。加齢だけでなく、前立腺肥大、過活動膀胱、膀胱炎などが背景にあることもあり、泌尿器科的な評価が必要になる場合があります。

5) そのほか見逃したくない原因

・ むずむず脚症候群/周期性四肢運動
・ 胃食道逆流、喘息、慢性鼻炎
・ 更年期症状(ほてり・発汗など)
・ 体内時計の乱れ(不規則な生活、夜勤、光環境)
・ 寝室環境(温度、光、音、寝具の不適合)

「SASかもしれない」を確かめる:検査の考え方

患者の会としては、自己判断で結論を出すよりも、**疑わしいときに“検査で確かめる”**ことが遠回りに見えて近道だと感じています。

まずは問診+簡易検査が入口になることが多い

SASの評価では、症状(眠気・いびき・起床時症状など)と、簡易検査(自宅で行う機器)による指標(REIなど)が用いられることがあります。概念整理として、AHIとREIの違い(簡易モニターではREIを用いるが、保険診療の表記でAHIとされることがある)もガイドラインで触れられています。

受診・検査を検討したい目安

次のいずれかに当てはまる場合は、医療機関で相談する価値があります。

・ いびき+日中の眠気がある
・ 家族に無呼吸を指摘された
・ 生活習慣を整えても熟睡感が戻らない
・ 高血圧、糖尿病、心疾患、脳血管疾患のリスクがある
・ 居眠り運転が怖い/仕事中の眠気が支障

治療・対策は原因別に“組み合わせる”

中途覚醒は原因が複合的になりやすいので、「これだけやればOK」になりにくい一方、原因に合った手を打つと改善の余地が大きい領域です。

SASが原因の場合の代表的な治療の方向性

・ CPAPなどの標準的治療(適応は重症度・状況で判断)
・ 体重管理、飲酒の見直し、睡眠姿勢の工夫
・ 鼻閉が強い場合の評価
・ 歯科装置(口腔内装置)が選択肢になるケースも

※治療は医師の診断と適応判断が前提です。患者の会として特定治療を押し付けることはせず、「適切な医療につながること」を大切にしています。

ストレス・生活習慣が関係する場合

・ 就寝前90分の過ごし方(強い光・スマホ・仕事の持ち込みを減らす)
・ カフェインの摂取時間を前倒し(午後〜夕方以降は控える等)
・ 寝酒を“習慣”にしない(量と頻度の見直し)
・ 起床時刻を固定し、体内時計を整える
・ 心身症状が強い場合は、医療・心理的支援も含めて検討

夜間頻尿が関係する場合

・ 夕方以降の水分・アルコール摂取の見直し
・ むくみ対策(夕方の軽い運動、足の挙上などが勧められることも)
・ 泌尿器科で原因疾患の確認(前立腺・膀胱など)

患者の会として共有したい「よくある体験」

※個人が特定されないよう、複数の相談内容をもとに一般化して編集しています。

体験1.眠気より「夜中に起きる」が主訴だった

40代後半。日中の眠気は強くないが、毎晩2〜3回目が覚める。更年期やストレスと思い込み、数年我慢。家族の「いびきが止まって息を吸い込む感じがある」の一言で検査を受け、SASが判明。「眠気がない=SASではない」ではなかった。

体験2.高血圧治療中、熟睡感が戻らない

50代。降圧薬を飲んでいるが朝の頭痛とだるさが続く。運動や食事改善を頑張っても睡眠が浅い。簡易検査で呼吸イベントが多いことがわかり治療へ。血圧だけでなく、朝の不調感の説明がついたことで納得感が大きかった。

体験3.夜間頻尿だと思っていたが、背景に呼吸の問題があった

60代。夜にトイレで起きる回数が増え、睡眠が細切れに。泌尿器科で治療しつつ、同時に「いびき・起床時の口渇」があり検査を追加。結果として、複数要因が重なっていた。ひとつの原因だけに絞らず、全体を見直す大切さを実感。


よくある質問(FAQ)

Q1. 中途覚醒があるだけで、SASを疑うべき?

A. それだけでは断定できません。ただし、いびき・息苦しさ・起床時症状・日中の眠気、あるいは高血圧などが重なる場合は、検査で確かめる価値があります。

Q2. いびきがない(と言われる)のでSASではない?

A. いびきは重要な手がかりですが、環境や同居状況で把握できないこともあります。録音やアプリ等で“気づく”ケースもあります(診断は検査が基本です)。

Q3. 生活改善だけで治る?

A. 原因が生活習慣中心なら改善で良くなることがあります。一方、SASなど器質的な問題が関与している場合、生活改善だけでは限界があることもあるため、原因の切り分けが重要です。

Q4. 「歳のせい」で片づけていい?

A. 加齢で睡眠が変化する面はありますが、治療可能な原因が隠れていることもあります。困りごとが続くなら、“原因を確かめる”方向へ進むのがおすすめです。


熟睡できないときは「原因の地図」を持つ

・ 中途覚醒は、ストレス・生活習慣・夜間頻尿など多因子で起こる
・ その中に、本人が気づきにくい**睡眠時無呼吸症候群(SAS)**が含まれる
・ SASは検査で評価し、適応があれば治療選択肢がある(放置リスクも指摘される)
・「慣れ」や「歳のせい」で抱え込まず、状況に応じて医療機関に相談することが大切

「睡眠時無呼吸症候群に打ち克つための患者の会」では

同じ悩みを抱える方々が安心して相談できる場所を提供しています。
最新のCPAPも無料体験可能ですので、気になる方は是非ご相談ください。

詳しくは以下をご覧ください。

※ 本記事は、医学的アドバイスや診断を目的とするものではなく、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。記事内容に基づく判断や行動について、当会では一切の責任を負いかねます。健康に関わる重要な判断は、必ず医療機関にご相談ください。

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