睡眠時に止まる呼吸―気づかれにくい“静かな負担”を見逃さないために

眠っているあいだに、いったい何が起きているのか?
日中は元気に過ごせているつもりでも、朝起きるたびにどこかスッキリしない。
「よく寝たはずなのに疲れが取れない」「集中力が落ちた気がする」——そんな違和感の背景に、睡眠中の呼吸異常が潜んでいることがあります。
私たちは眠っている間も、脳の指令によって自動的に呼吸を続けています。
しかし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、この当たり前の仕組みが破綻し、10秒以上も呼吸が止まるという事態が、夜に何十回、何百回と繰り返されています。
多くの患者さんが「まさか自分が呼吸していないなんて」と驚かれます。
実際、自分では気づけないのが当たり前の病気なのです。
寝ている時に呼吸が止まる—それは体にどれほどの負担か
SASは“睡眠中の出来事”であり、深刻な自覚症状が乏しいため、「自分には関係ない」と考えてしまいがちです。しかし、体は確実にダメージを受けています。
呼吸停止のたびに酸素が不足し、体は悲鳴をあげている
呼吸が止まる → 血中の酸素が急激に低下 → 心臓・脳が大きなストレスを受けます。これが一晩中、断続的に繰り返されるのです。
朝起きたときの不調は、実は SOS
患者の会に相談が多いのは、以下のような声です。
・ 「頭がズキズキする」
・ 「7時間寝ても熟睡した感じがない」
・ 「朝から身体が重くて動きにくい」
これらはすべて、夜間の低酸素状態の結果として起こりうる症状です。
日中にも影響
眠気、倦怠感、集中力低下、居眠り運転の危険…。
SASは生活の質を確実にむしばんでいきます。
家族が気づきやすいサイン
・ 10秒以上呼吸が止まる
・ 激しいいびき
・ むせ込むような呼吸再開
・ 夜間の頻尿
枕元にスマホを置いて録画するだけでも、手掛かりになります。スマホアプリについてはこちらの記事もご参照ください。
SAS の2つのタイプ-なぜ呼吸が止まるのか?
睡眠時無呼吸症候群は、大きく2つのメカニズムで分類されます。
1)閉塞性SAS(OSAS)——空気の通り道がふさがるタイプ
上気道(鼻〜喉の空気の通路)が狭くなることで起こります。
主な原因
・ 肥満による首まわり・気道内部の脂肪沈着
・ 下顎が小さい・扁桃肥大などの解剖学的特徴
・ 仰向けで寝る習慣
・ アルコールによる筋弛緩
もっとも一般的なタイプで、多くの患者さんがこれに該当します。
2)中枢性SAS(CSAS)—脳からの指令が途切れるタイプ
脳の呼吸中枢が呼吸指令を出さなくなることで生じます。
・ 心疾患、脳疾患などと関連する場合も
・ OSASよりも専門的な評価が必要
血中酸素を測る「SpO₂」とは何か?
睡眠中の無呼吸を評価するうえで重要なのが、動脈血酸素飽和度(SpO₂)という数値です。
SpO₂ は酸素が体にどれだけ届けられているかの指標
血液中のヘモグロビンの、何%が酸素を運んでいるかを示すものです。
正常:95〜99%
SASでは無呼吸のタイミングで急降下し、80%台、時には70%台になる患者さんもいます。
これは心臓にも脳にも大きな負担をかけ、放置すれば深刻な合併症につながります。
パルスオキシメーターで睡眠時の状態を“見える化”
簡易検査に用いる小型機器が、パルスオキシメーターです。
パルスオキシメーターの役割
・ 指先に装着し、SpO₂と脈拍を継続測定
・ 無呼吸が起こるタイミングの酸素低下を記録
・ 自宅で簡単に使用できる
「機械をつけて寝るだけ」で、睡眠時の呼吸状態が明確になります。
医療現場では“第5のバイタルサイン”とも呼ばれ、低酸素血症の早期発見に欠かせないツールです。
睡眠時無呼吸を放置すると何が起きるか
・ 高血圧の悪化
・ 心不全・不整脈
・ 脳卒中リスクの上昇
・ 交通事故の危険
・ 糖代謝の悪化(糖尿病との関連)
静かに進行する病気だからこそ、早めに気づくことが何よりも大切です。
生活習慣でできる予防と改善
医学的治療はもちろん大切ですが、日常生活でできる対策も多く存在します。
①体重管理
肥満はOSASの最大リスク。
・ まずは“適正体重を知る”
・ あご・首まわりの脂肪が減ると気道の通りが改善
②アルコール摂取に注意
寝る前のお酒は筋肉をゆるめ、気道をさらに狭めます。
③寝る姿勢を工夫
横向き寝は上気道が閉じにくく、いびき改善にもつながります。
④睡眠薬の乱用は逆効果
眠りを深くするどころか、呼吸抑制を招く場合があります。
必ず医師に相談しましょう。
早めに検査を受ける意味-安心を得ることも“治療の一部”
SASは、“検査して初めて分かる病気”です。
無呼吸があるかどうか、どの程度か、どんなタイプか——これらは睡眠中のデータを取らないと判断できません。そして重要なのは「もしSASではなかったとしても、その確認自体に大きな価値がある」ということです。
・ 不安の軽減
・ 睡眠に対する理解の向上
・ 他の病気の早期発見につながる可能性
検査は決して“身構えるもの”ではありません。
むしろ、“これからの人生の安心のための健康投資”と考えてください。
患者の会からのメッセージ
睡眠時無呼吸症候群は、放置されがちでありながら、気づいたときには生活の質を大きく奪ってしまう病気です。しかし同時に、検査を受け、適切な治療を開始すれば劇的に改善する病気でもあります。
多くの患者さんが「もっと早く知っていれば…」と口をそろえます。
もし、ほんの少しでも心当たりがあるなら、一度立ち止まってご自身の睡眠を見つめ直してください。
私たち「睡眠時無呼吸症候群に打ち克つための患者の会」では、同じ悩みを抱える方々が安心して相談できる場所を提供しています。
最新のCPAPも無料体験可能ですので、気になる方は是非ご相談ください。
詳しくは以下をご覧ください。
無呼吸&いびき相談室

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本記事は、医学的アドバイスや診断を目的とするものではなく、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。記事内容に基づく判断や行動について、当会では一切の責任を負いかねます。健康に関わる重要な判断は、必ず医療機関にご相談ください。
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