いびきと睡眠時無呼吸症候群(SAS)の深い関係

― 国際研究が明らかにした「いびきは身体のSOS」 ―
1. はじめに
「ただのいびきだから大丈夫」と思っていませんか?
実はいびきは、睡眠時無呼吸症候群(SAS/OSA)につながる大切なサインの一つです。
2022年に発表された国際的な医学研究(Chiang ら)は、いびきの音の特徴と、無呼吸の重症度に明確な相関があることを示しました。
このページでは、その研究内容を患者さん向けにわかりやすくまとめました。詳細版はこちらをご覧ください。
2. 国際研究が示した「いびき」と「無呼吸」の関連性
2022年の研究では、睡眠中のいびきを詳細に録音し、
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音の強さ
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周波数(音の高さ)
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回数
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音の変動
といった音響データを分析し、患者さんの無呼吸・低呼吸指数(AHI)と比較しました。
その結果、いびきの特徴が強いほど、無呼吸の重症度(AHI)が高い傾向がある
ということが明確になりました。
特に、以下のようないびきは、OSAと強い関連性がありました:
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大きな音のいびき
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高音が混ざった複雑な音質のいびき
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いびきの回数が多い(頻発する)
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音量が一定せず、息が苦しそうに聞こえるいびき
これらはいずれも、“上気道の閉塞(狭窄)”が起きている可能性を示しています。
3. いびきは「たかが音」ではなく、身体の危険信号
いびきは、喉の奥にある上気道が狭くなり、空気が通るたびに振動して発生する音です。
上気道が狭くなる原因は…
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肥満
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加齢
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顎の形
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アレルギーや鼻づまり
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飲酒
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仰向け寝
などさまざまですが、問題は 「どれくらい狭くなっているか」 です。
いびきが大きい・不規則・高音が混ざる という特徴は、“空気の通り道が何度も狭く・不安定になっている”可能性を意味します。
これは、睡眠中に呼吸が止まる 睡眠時無呼吸症候群(SAS) と深く関係します。
4. なぜ「いびき」と「SAS」はつながるのか?
国際論文では、以下のようなメカニズムが説明されています。
■ ① 上気道の狭窄が進む
→ いびきの音量が大きくなる
→ 高音域の成分が増える
→ いびきのリズムが不規則になる
■ ② 狭くなった気道が完全に閉じる
→ 呼吸が止まる(無呼吸)
→ 酸素が低下
→ 心臓や脳に負担がかかる
つまりいびきは、「無呼吸に移行してもおかしくない状態です」という身体からの警告と言えます。
5. いびきのある人に起きやすい症状・リスク
国際研究を含む多くの医学論文で、いびきと SAS の関連症状が報告されています。
● 日中の強い眠気
● 集中力低下・居眠り運転の危険性
● 高血圧の発症リスク
● 心疾患(心不全・不整脈)
● 糖尿病など代謝異常
● 寝ている時の窒息感・中途覚醒
● 寝ても疲れが取れない
特に男性、中高年、肥満がある場合はリスクが高まります。
6. 「いびきがある=SAS」ではないが、早期検査が重要
論文では繰り返し、「いびきがあるから必ずSASというわけではない」と強調されています。
しかし同時に、いびきの75〜80%がOSA患者に見られるという報告もあり、無視できません。
だからこそ大切なのは、いびきがある時点で“疑い”として検査につなげることです。
自覚症状が少なくても、無呼吸が重症化しているケースは多々あります。
7. いびきを放置しないためにできること
■ ① 睡眠検査を受ける
SASの診断には、
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ポリソムノグラフィー(PSG)
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自宅での簡易検査
などの医学的検査が必要です。
■ ② 生活習慣を見直す
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減量
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寝る前の飲酒を控える
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鼻づまりの改善
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横向き寝を試す
■ ③ 必要に応じて治療を受ける
SAS(特に中等症以上)の第一選択は CPAP治療 です。
本研究のメッセージは、とてもシンプルです。
いびきは身体が発している大切なサイン。
放置しなければ防げるリスクがたくさんあります。
私たち患者の会では、
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相談会
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無料のCPAP体験会
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機器の比較・使用感の説明
などを患者目線で提供しています。
専門的な治療に入る前に、「まずは相談する」ということも大切です。
患者の会からのメッセージ
私たち「睡眠時無呼吸症候群に打ち克つための患者の会」では、同じ悩みを抱える方々が安心して相談できる場所を提供しています。
最新の小型CPAPも無料体験可能ですので、気になる方は是非ご相談ください。
詳しくは以下をご覧ください。
無呼吸&いびき相談室

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本記事は、学術論文や公開情報を元に、患者さんが理解しやすい形でまとめた一般的な情報提供です。医学的アドバイスや診断を目的とするものではなく、内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。記事内容に基づく判断や行動について、当会では一切の責任を負いかねます。健康に関わる重要な判断は、必ず医療機関にご相談ください。


