シーパップ(CPAP)が苦しい… 原因と正しい対処法、そして“自分に合う機器”を見つけるために

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療で一般的に使われるCPAP(シーパップ)。
多くの方が「使い始めてから日中の眠気が改善した」「朝起きるのが楽になった」と実感しています。

しかし一方で、
「苦しくて続かない」
「息がしにくい」
「鼻がつまる」

といった悩みも非常に多いのが現実です。

実は、CPAPが苦しい理由の多くは“あなた自身の問題”ではなく、“機器や設定が合っていないこと”が原因の一つと考えられます。

本記事では、
① なぜCPAPが苦しく感じるのか(原因)
② 自分でできる対策
③ それでも合わない場合の選択肢
④ 機器を試せる「患者の会」での取り組み

までをまとめて解説します。

なぜCPAPが苦しく感じるのか?

① 鼻づまり・口呼吸のクセによるもの

特に多いのがこのケースです。

  • アレルギー性鼻炎

  • 慢性的な鼻づまり

  • 花粉症の時期

  • 鼻腔が狭い体質

こうした要因があると、CPAPで空気が送られることで余計に息苦しく感じる場合があります。

② マスクが顔に合っていない

CPAPマスクは大きく分けて以下の種類があり、合わないマスクを使うと、息苦しさ・漏れ・圧迫感の原因になります。

  • 鼻だけ(ナサルタイプ)

  • 鼻と口(フルフェイス)

  • 鼻孔に差し込むタイプ(ピロータイプ)

日本人は鼻が低めの方も多く、欧米向けサイズのマスクが合いにくいという構造的な問題もあります。

③ CPAPの機種が自分に合っていない

意外ですが、これも非常に多いです。

CPAPはメーカーやモデルによって

  • 風の質感

  • 立ち上がりの強さ

  • 呼気の逃がし方(呼気圧の軽減性能)

  • 自動調整(APAP)のクセ
    などが大きく異なります。

機種によって“相性”が大きいのがCPAPの特徴です。

④ 圧力設定が強すぎる/弱すぎる

医療機関で設定される圧力(cmH₂O)が合っていない場合、

  • 強すぎ → 息苦しい、空気漏れ、喉の乾燥

  • 弱すぎ → 改善されず苦しさが残る

という現象が起こります。

⑤ スタート時の圧が高くて驚く

スタート時にゆっくり圧が上がる「ランプ機能」を使っていない人は、
最初の息苦しさで断念してしまうことがあります。

まず試すべき対策

① 鼻づまりの改善

・市販薬の点鼻薬
・ぬるま湯の鼻うがい
・寝室の加湿
など、鼻呼吸をしやすくするだけでCPAPの快適性が大きく変わります。

② マスクの交換・サイズ変更

「苦しい」の原因としてマスクの交換も検討してみてください。
特に、鼻孔に入れる“ピロータイプ”は呼吸が軽く、“鼻が弱い人には逆に合う”こともあります。

③ 圧力設定の見直し

医療機関に相談すれば調整可能です。
・圧が高い人は「呼気圧軽減(EPR/AFLEXなど)」
・低いと感じる人は「設定範囲の見直し」
で改善することがあります。

④ 機種の相性を疑う

機種によって“呼吸のしやすさ”が全然違うため、「別の機種なら快適だった」という方が非常に多いです。
実際に私たち患者の会でのCPAP無料体験無呼吸&いびき相談室で複数の機種を試してみて、機種の違いが結構あることに驚かれる方が少なくありません。


3|医療機関レンタルの限界 ― 機種変更が難しい理由

保険診療でのCPAPレンタルは、基本的に医療機関が契約しているレンタル会社の機種のみしか使えません。

つまり、

  • 自分には合わない機種でも変更できない

  • そもそも取り扱っている機器が少ない

  • メーカーを変えることが難しい

という制約があります。

実際、医療機関レンタルは「機器を選ぶ」という発想が存在しない仕組みと言ってもいいほどです。

そのため、患者さんからは
「本当は別の機種を試したいのに…」
「合わないと言っても変更できないと言われた」
といった声を伺うこともあります。

自費購入という選択肢 ― “自分に合う1台”を選べる

ここが大きなポイントです。

医療機関レンタルが合わない場合でも、CPAPは自費で購入することができます。

自費購入には以下のメリットがあります:

■ 自費購入のメリット

  • メーカーの異なる複数の機種から選べる

  • 自分に合うマスクを自由に選べる

  • 保険の通院義務がない

  • 設定や相談もオンラインで完結するケースがある

  • レンタルでは体験できない“高性能モデル”も選択可能

特に重要なのは、“相性が悪い機種を避けられる”という点。

風の質、圧のかかり方、呼吸のリズムなどは個人差が大きく、機種選びが快適性の9割を左右すると言っても過言ではありません。

とはいえ「試さずに買う」のは絶対におすすめしません

CPAPは家電ではなく医療機器です。
相性が大きく分かれるため、本来は複数機種を試してから選ぶべきものです。

しかし現実には、

  • 保険レンタルでは試す機種が選べない

  • 自費購入先にも“試せる場”が少ない

という問題がありました。

患者の会では、CPAPを“実際に試せる場”を設けています

一般社団法人として、営業的にならない範囲で、患者さん自身が“自分に合う機種・マスク”を体験できる場を設けています。

■ 取り組みの一例

  • 複数メーカーの機器を比較できる

  • マスクの種類・サイズを実際に装着できる

  • 「風の質」「呼吸のしやすさ」をその場で確認

もちろん、ここで機器を買う必要はありません。
あくまで、「自分に合うかどうかを確かめるための場所」として運営しています。

患者さんからは
「今までの“苦しさ”が嘘のように解消された」
「別の機種に変えたら呼吸がすごく楽だった」
「マスクが自分に合っていないだけだとわかった」
といった声が数多く寄せられています。

まとめ:シーパップが苦しいのは“あなたのせい”ではない

CPAPが苦しい理由はさまざまですが、多くの場合、以下のいずれかが原因です。

  • 鼻づまりなど身体的な要因

  • マスクの相性が悪い

  • 圧力設定が合っていない

  • 機種が自分に合っていない

そして、保険レンタルでは機種変更が難しいという構造的な問題もあります。

だからこそ、

✓ 機器の違いを知る
✓ 実際に試してみる
✓ 自分に合う治療法を選ぶ

これはとても大切なことです。

CPAPは“快適に使えるもの”を選べば、睡眠の質を劇的に改善し、日中の眠気や生活の不調を大きく改善します。

もし、
「苦しくて続けられない」
「本当にこれで合っているのか不安」
という方がいれば、一度、複数の機種を試してみることを強くおすすめします。

患者の会からのメッセージ

私たち「睡眠時無呼吸症候群に打ち克つための患者の会」では、同じ悩みを抱える方々が安心して相談できる場所を提供しています。

詳しくは以下をご覧ください。

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