CPAPはどんな場合に保険適用される?

保険の仕組みと、保険適用外でも治療を選ぶための選択肢

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)の治療として最も一般的なのが、CPAP(シーパップ)療法です。しかし、いざ治療を検討すると「CPAPは保険適用なのか?」「自分の場合は使えるのか?」と疑問が出てきます。

結論から言うと、CPAPはすべての患者さんが保険で使えるわけではありません。
厳密な基準が定められており、基準に該当しないとCPAPが処方されず、「軽症〜中等症」と診断された方の中には、治療を受けたくても保険では使えないケースがあります。

本記事では
①保険適用の仕組み
②なぜ“基準未満”だと処方されないのか
③それでもCPAPを希望する人が自費で購入できる選択肢

をわかりやすく解説していきます。

CPAPが保険適用になる条件とは?

日本では、CPAP療法は健康保険の対象です。ただし条件があります。

保険適用の主な基準(医療機関で共通)

✓ AHI(無呼吸低呼吸指数)が「20以上」
または
✓ AHIが5以上20未満でも、日中の強い眠気などの症状が顕著で医師が必要と判断する場合

つまり、
・AHI20以上 → 原則として保険適用
・AHI5〜20 → 状況次第で保険適用
・AHI5未満 → 原則として保険適用不可
となります。

保険適用には「毎月の通院」が必要

CPAPは継続的に管理が必要な医療機器であるため、
月1回の通院(受診)が保険上のルール となっています。

これには
・使用状況の確認
・機器の管理
・治療効果の確認
といった理由があります。

以上のことからまずは医師の診断を受けるところからスタートすることが望まれます。

軽症・中等症だと処方されない理由

しかし検査の結果、「中等症未満」と診断された場合、CPAPが保険適用にならないことがあります。
医学的に「重症でない=命に関わるリスクが直ちに高いわけではない」という判断が背景にあります。

とはいえ患者さん側から見ると
「保険適用基準に届かないだけで、症状はつらい」
「日中の眠気や集中力低下に困っている」
「いびきが大きくて家族に迷惑をかけている」
というケースも多く、軽症でもCPAPを希望する人は少なくありません。

また、軽症〜中等症の場合でも、以下のようなリスクがあることが知られています。

  • 高血圧や不整脈のリスク増加

  • 仕事中の集中力低下

  • 居眠り運転の危険性

  • 睡眠の質が悪く慢性的な疲労が抜けない

このため、「保険適用外でもCPAPで改善したい」という希望は極めて自然なことです。また「重症にならないと使えない、使わない」というのも予防医学的な観点から考えると問題があるようにも感じます。

保険適用外でも、CPAPを購入できる選択肢がある

ここが重要なポイントです。

CPAPは、保険適用外でも“自費で購入”することができます。

多くの方が誤解していますが、保険が使えない=CPAPを使えないではありません。

自費購入が選ばれる主な理由

  • 軽症〜中等症でCPAPが保険適用にならなかった

  • 毎月の通院が時間的に難しい

  • 通院の負担を避けたい

  • 早く治療を始めたい(保険適用には時間がかかる場合がある)

自費購入に必要なもの

医療機器である以上、医師による確認と診断書の発行が必要です。

ただし、「診断書がないとCPAP購入は絶対にできない」という誤解もあります。

最近では、提携医師のオンライン診療を通じて診断書を取得し、保険適用外でCPAPを購入するルートが整備されてきています。

■ 自費購入のメリット

  • 毎月の通院が不要

  • 自宅で手続きが完結する場合もある

  • 検査〜導入までがスピーディー

  • 保険基準に縛られず、必要な人が治療を開始できる

一方で、機器代が全額自己負担になるため、費用を理解したうえで選択することが重要です。(費用に関する関連記事

軽症・中等症の方が「治療の機会を失わない」ために

SASは軽症であっても、その後進行するケースがあります。

  • AHIが夜によって変動する

  • 体重の増加

  • 年齢による筋力低下

  • 睡眠姿勢
    などによって症状が悪化するため、
    “軽症だから大丈夫”とは限りません。

そのため、保険適用の基準に届かない場合でも、検査を継続しつつ、必要なら自費での治療を開始するという二段構えの対策が現実的です。

また、家族の睡眠環境の改善や、仕事でのパフォーマンス維持という観点からも、「軽症でも治療する価値がある」と考える医師も増えています。

保険適用外のCPAP購入はどんな流れ?

一般的には以下のようなステップになります。

① 簡易検査またはPSG(精密検査)

現在のAHIや症状を把握。

② 医師の診断・ヒアリング

保険適用外となる理由の説明。
必要に応じて診断書を作成。

③ 機器の選定・購入

自費のため、利用者自身が機器の種類を選べる場合が多い。

④ 自宅で使用開始

通院義務がなく、オンラインでの相談窓口があるケースも。

まとめ:保険適用にならなくても、選択肢はある

CPAPの保険適用には明確な基準があります。
そのため、軽症〜中等症と診断された場合、「使いたいのに保険では認められない」ということが起こります。

しかし、保険適用外の自費購入によって、必要な人が治療を開始できる道が確実に存在します。

  • 症状がつらく生活に支障がある

  • いびきが深刻

  • 日中の眠気が仕事に影響

  • 検査では重症に該当しないが放置が不安

こうした悩みがある方にとって、CPAPの自費購入は「最後の選択肢」ではなく、積極的に検討できる治療のひとつです。

睡眠の質は、心身の健康に直結する最重要の基盤です。
保険適用にこだわるだけでなく、ご自身の症状・生活状況に合わせて、最適な治療方法を選んでいただくことを願っています。

患者の会からのメッセージ

私たち「睡眠時無呼吸症候群に打ち克つための患者の会」では、同じ悩みを抱える方々が安心して相談できる場所を提供しています。

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