睡眠の質の低下がもたらす問題。海外予測と国内疫学データを踏まえた補足解説

日本における睡眠時無呼吸症候群(OSA)と女性患者増加の可能性

海外予測と国内疫学データを踏まえた補足解説

結論の要点(国内向け要約)

・ 日本でもOSAは決して男性だけの疾患ではない
・ 女性のOSAは有病率自体は男性より低いが、年齢とともに急増する
・ 特に閉経後女性における未診断・過小評価の可能性が高い
・ 海外研究が示す「女性の相対的増加」は、日本でも十分に起こり得る構造を持っている

日本におけるOSA有病率の基本データ

日本では、欧米ほど大規模な全国疫学調査は多くありませんが、複数の研究から以下の傾向が一貫して示されています。

 成人におけるOSA有病率(推定)

・ 男性:約10〜20%
・ 女性:約3〜9%

一見すると女性は少ないように見えますが、重要なのは 年齢別推移です。

年齢別に見ると、日本女性のOSAは「後半で急増」する

日本の睡眠医療・疫学研究では、次の特徴が報告されています。

若年〜中年期(〜40代前半)

・ 男性に比べ女性のOSA有病率は明らかに低い
・ いびき・無呼吸が軽度、または自覚されにくい

50代以降(閉経期以降)

女性のOSA有病率が急激に上昇
・ 男性との差が大きく縮小
・ 一部研究では 高齢層で男女差がほぼ消失

これは海外研究と極めて一致する傾向です。

日本女性に特有の「見逃されやすさ」という問題

日本において女性OSAが過小評価されてきた背景には、文化的・医療的な要因も関係しています。

① 症状の訴え方の違い

女性患者では、
・ 強いいびきを自覚しない/訴えない
・「眠い」より不眠・倦怠感・集中力低下・気分の落ち込みといった非典型的症状が前面に出やすい
ことが知られています。

その結果、
・ 更年期障害
・ 自律神経失調症
・ 抑うつ状態
として扱われ、睡眠検査に至らないケースが少なくありません

② 日本では「女性がOSAになる」という認識が低かった

日本では長らく、「睡眠時無呼吸症候群=太った中年男性の病気」というイメージが支配的でした。
この認識は医療現場・一般社会の双方に影響し、
・ 女性本人が受診をためらう
・ 医療者側も積極的に疑わない
という 二重の診断ギャップを生んできました。

肥満率の上昇と日本女性OSAの将来リスク

日本は欧米ほど肥満率が高くないとはいえ、
・ 中高年女性のBMI上昇
・ 内臓脂肪・頸部脂肪の増加
・ 閉経後の体脂肪分布変化
といった要因は確実に進行しています。

OSAは「軽度の体重増加」でも悪化しやすい疾患であり、欧米型肥満でなくとも、日本人女性でも十分にリスクが高まることが分かっています。

海外研究の”女性の相対的増加”は日本にも当てはまるか

今回の国際研究(30年予測)は米国データを基にしていますが、以下の点で日本にも構造的に共通しています。

観点 米国 日本
高齢化 進行中 世界最速レベル
女性寿命 長い 非常に長い
閉経後人口 増加 大幅増加
女性OSAの過小診断 指摘あり より顕著

 
つまり、日本では「現在の有病率」以上に、将来の顕在化幅が大きくなる可能性があると考えるのが自然です。

患者団体としての見解

・ 日本でも 女性のOSAは珍しい病気ではない
・ 特に、40代後半〜、更年期以降、「寝ても疲れが取れない」と感じている女性は、一度OSAという視点で振り返る価値がある

重要なのは「早く気づくこと」

OSAは、早期発見で比較的シンプルな治療・対策による生活の質(QOL)改善が期待できる疾患です。
海外の最新研究が示す「女性の睡眠時無呼吸症候群の相対的増加」は、日本においても決して他人事ではありません。

高齢化、閉経後の生理的変化、そして長年の診断ギャップ。
これらが重なることで、日本では今後、これまで見過ごされてきた女性のOSAが一気に表面化する可能性があります。

参考文献

Boers E, Barrett MA, Benjafield AV, et al. Projecting the 30-year burden of obstructive sleep apnoea in the USA: a prospective modelling study.
The Lancet Respiratory Medicine, Volume 13, Issue 12, 2025.

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