CPAP(シーパップ)治療をやめたい?患者が感じる問題点とは

以下の論文に

患者が訴える問題点がまとめられていましたので、ご紹介していきたいと思います。

引用:「閉塞性睡眠時無呼吸症患者のCPAP治療後早期訴えと中止理由の解析」
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 28 巻 (2018) 3 号
著者:大村 一之 医療法人康曜会プラーナクリニック検査科、埼玉医科大学保健医療学部 他

論文の内容は

「CPAP療法導入から1週間後における患者の訴えを電話介入により調査し,その後CPAP療法を1年間使用継続できた「継続群」と,1年以内に治療を中止した「脱落群」の背景因子を解析し,脱落時における訴えと導入1週間後における訴えを比較検討した」ものとなります。

要旨

【背景と目的】

閉塞性睡眠時無呼吸症のCPAP治療において,当院の検査技師は導入1週間後に電話連絡を行うなどしてアドヒアランス向上に努めてきた.CPAP継続群と脱落群の電話介入時に得られた訴えと,脱落群の脱落理由を比較検討したので報告する.

【方法】

対象はCPAP加療中の232例.導入1週間後の訴えを調査し,1年継続群と脱落群の中止理由,性別,年齢,BMI,ESS,AHI,各種睡眠変数,SpO2,3%ODI,周期性四肢運動障害指数(PLMI),体位およびREM依存性の有無,CPAP圧等を比較した.

【結果】

治療早期に多い訴えはマスクと鼻口症状で,治療中止は半年までに多く,脱落群の中止理由は入眠障害や鼻症状,違和感が多かった.また脱落群では有意にBMIとAHI,3%ODIが低く,平均SpO2,PLMIが高かった.

【考察】

治療後半年間は,入眠障害や鼻症状,違和感などに注意し,導入早期の訴えが中止理由に繋がる可能性も考慮して,電話などで早期に問題を抱える患者に介入していく必要がある.

持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure: CPAP)の有効性は確立されているが,そのアドヒアランス向上は,未だ解決に至らない課題である.CPAPアドヒアランス(患者が治療方針の決定に賛同し積極的に治療を受けること)の評価は,Centers for Medicare & Medicade Serviceによると,一夜あたり4時間以上の使用と定義されているが,毎晩4時間以上の使用をアドヒアランスとするならば,46-83%の患者はアドヒアランス不良になると報告されている

またCPAP導入後1週間のうちに5-50%の患者が治療継続を断念するとの報告もあり6),早期の脱落をいかにして防ぐかが重要となる.

CPAP導入1週間以内に半数の患者が治療をやめている?

この論文の内容として、まず最後の一文”CPAP導入後1週間のうちに5-50%の患者が治療継続を断念するとの報告もあり6),早期の脱落をいかにして防ぐかが重要となる”の部分が気にかかります。

これは言い換えると5~50%と数字の幅が大きいものの最大値を取ると、「半分の患者はCPAP導入後1週間以内に治療をやめてしまう」ということになります。半数というのは大袈裟かもしれませんが、それでも私たち睡眠時無呼吸症候群の患者にとって、CPAPの治療は大きな負担になっていることを示していると感じます。

CPAP導入1週間後の問題点とは

1年以上継続して使用できた181人のうち1週間後に何らかの訴えが生じたのは113人(62.4%)。つまり1年以上継続使用できている人たちでも約6割が導入1週間後に何らかの問題を訴えていることになります。

1年以上使用できなかった25人も含めて挙げられた問題点は下表の通りです。

(リーク=エア漏れのこと。鼻閉=鼻呼吸ができない状態のこと。以上、当社団による注釈)

これらの問題点を私たち患者目線でまとめてみると

以下の3点が多いと言えそうです。
・マスクがうまく使えない(空気が漏れる、無意識に外すなど)=85
・息がうまくできない。(鼻が詰まる。息苦しいなど)=52
・よく眠れない。=12

マスクについては慣れの問題もあるでしょうし、息がうまくできないことについても、設定圧変更や点鼻薬処方、加温加湿器の併用などの対策も考えられます。

まずはCPAP治療を始めて1週間前後の早期の段階では、苦しいからといって治療をすぐにやめてしまうのではなく、医師とよく相談をして適切な対策を講じることが大事だと感じます。

以上

この記事では、CPAP治療においてどのような問題が多いのかについて論文を通じてご紹介させて頂きました。皆様の参考になれば幸いです。

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とりわけ治療に関しては、病院の方針等や医師の考え方等によっても異なりますので、あくまで参考情報としてご利用ください。

 

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